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【文庫本レビュー】「炎と花」 ヒストリカル・ロマンス小説の元祖!

紫がかった空と海の中を走る古い時代の船 時事ハイライト
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筆者が厳選した文庫小説のおすすめ作品をご紹介します。

恋愛小説を読むことで、自分自身の人生に対する見方や価値観が変わることがあります。

読者のみなさんにとっても新しい発見があるはずです。

是非とも読んで感動して下さい♪

それでは今回ご紹介する文庫本はこちらです!

ヴィレッジブックスから出版された小説『炎と花』を紹介します。

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はじめに

この作品は、キャスリーン・E・ウッディウィスさんによって執筆され、野口百合子さんによって翻訳されています。

1972年に書かれたヒストリカル・ロマンス小説で、当時の出版業界に多大な影響を与えました。

ヒロインの「ヘザー」と荒々しい「ブランドン」のロマンスを描いており、ロマンス小説のジャンルにおいて、セックスシーンを含む初めての小説の1つであると考えられています。

『炎と花』ストーリー概要

※あとがき参照:物語の流れが分かるので注意!

時は18世紀末の英国。

孤児である17歳の主人公ヘザーは、就職先を紹介するという男にだまされて薄情な伯母のもとからロンドンへ連れて来られますが、乱暴されそうになって夜の街へと逃げ出します。

そこでアメリカ人の船長ブランドンと出会い、ヘザーを娼婦だと思い込んだ彼に処女を奪われてしまいます。

ブランドンのもとからも逃げ出したヘザーでしたが、数カ月後、船長の子を妊娠していることに気づきます。

亡くなった父親の友人だった判事がブランドンを探し出し、ヘザーと結婚しなければ密輸の罪を着せて逮捕すると脅迫、彼は仕方なく結婚を承諾します━━

じつは、姿を消した少女に激しく心惹かれていたブランドンはヘザーを探していたのですが、強制的に結婚させられたことで彼の誇りはひどく傷つき、新妻に対して冷たい態度をとり続けます。

一方、ヘザーは嵐のように自分の体を奪った男を恐れながらも、時にやさしさを垣間見せるハンサムなブランドンを憎みきれません。

やがて舞台は大西洋の荒波の上へ、そしてアメリカ南部の大農園へと移っていきます。


前半の主な登場人物
ヘザー・シモンズ 
18歳になる英国人の娘
ファニー・シモンズ
ヘザーの伯母
ジョン・シモンズ
ヘザーの伯父
ウィリアム・コート
ファニーの弟
トマス・ヒント
ウィリアムの助手
ブランドン・バーミンガム
商船(フリートウッド)号の船長
ジョージ
ブランドンの従者

時代背景

物語が始まるのは1799年で、前年にはナポレオンのエジプト遠征が始まり、英国はフランスとの戦いのさなかにあります。

一方アメリカはもはや植民地ではなく、1797年にアダムスが第二代アメリカ大統領に就任しました。

『風と共に去りぬ』で描かれるように、南北戦争が起きて奴隷制度が廃止になるのは、19世紀後半に入ってからのことです。

著者・訳者について

キャスリーン・E・ウッディウィスさん(1939-2007)は、アメリカで「ヒストリカル・ロマンスのファーストレディ」とよばれていました。

その理由としては、1970年代に『炎と花』『シャナ』などの名作を発表し、今日のヒストリカル・ロマンスの隆盛を築く先駆けとなったことが挙げられます。

ウッディウィスは、アメリカのルイジアナ州で生まれ、『ジェーン・エア』『レベッカ』『風と共に去りぬ』などを愛読書として育ちました。

空軍将校と結婚し、夫の転任にともなって日本でも三年半ほど暮らしたそうです。

このデビュー作品がベストセラーとなり、その後は十二の長編を発表しています。

全てヒストリカル・ロマンスで、これまでの総部数は3.600万部以上、1冊が平均して300万部以上売れていることになり、彼女の作品がいかに広範に息長く支持されているかがよく分かります。

野口百合子さんは、英米文学の翻訳家として活躍されています。

主な訳書は、マグレガー『エリザベス』、ハンド『マリー・アントワネットの首飾り』、ムーアクラフト『独房の修道女』、タウンリー『ローマのあぶない休日』、クルーガー『月下の狙撃者』などがあります。

出版の経緯

日本では、サンリオ出版から1980年代から90年代にかけて再刊、復刊を含めて6つの作品が紹介され、大変な人気を呼びました。

モダンロマンス・シリーズに始まり、リクエスト・シリーズ、クラシックロマンス、しまいにはウッディウィス全集まで出ましたから、彼女の名前をご存じの読者の方も多いと思います。

サンリオ出版が撤退したあと作品は長らく絶版状態が続いて、古書店での値段は高騰し、また読みたいと願う読者の声がネットをはじめあちこちで上がっていました。

そこで、ヴィレッジブックスからウッディウィスのデビュー作『炎と花』を、新訳で刊行されることになったのです。

筆者感想

古典的なロマンス小説の中でも、特に歴史的背景や描写の詳細さ、そして情熱的な愛の表現が素晴らしい一作です。

主人公のヘザーとブランドンの愛の軌跡は、身分や社会的制約にもかかわらず、二人の強い意志や愛情によって成し遂げられます。

この作品の特徴は、18世紀のアメリカ南部の社会情勢や文化的背景が描かれていること。

奴隷制度、社会的階級の分断、そして当時の恋愛文化など、読み進めるうちに当時の時代背景に思いを馳せることができます。

また、作者が描く情景のリアルさや、登場人物たちの情熱的な台詞や行動は、読者の心に響くことでしょう。

ロマンス小説を愛する方には、必見の一冊です。

まとめ

『炎と花』は、18世紀のアメリカ南部を舞台にした情熱的なロマンス小説です。

逆境の人生の中、芯の強さと無邪気さ、そしてみずみずしい美貌で、かたくなな心を虜にしていくさまが大きな読みどころと言えるでしょう。

是非、一読されてみてはいかがですか。

この記事を書いた人
びわおちゃん

☆1971年生まれ ☆滋賀県在住
☆物流系30年 ☆92'立命館大学卒

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