\1000冊以上読み放題はコチラ♪/

【物流2024年問題】物流界の救世主「RORO船」長距離輸送はモーダルシフト

停泊中のRORO船 時事ハイライト
※当サイトにはアフィリエイト広告が含まれます

物流業界における最大の課題は、持続可能性と効率性の向上です。

この課題に対処するためのキーワードが「モーダルシフト」。

トラックの長距離輸送におけるモーダルシフトは、船舶、鉄道など、異なる輸送モードを組み合わせて使用することで、コスト削減や労働時間の短縮、環境への影響軽減が可能となります。

2024年問題の物流業界における急務の問題の一つは、「長距離輸送ドライバーの過度な労働時間」で、労働時間の短縮を実現するために模索されているアプローチの一つが、船舶へのモーダルシフトなのです。

今回は、その船舶の中でも『RORO船』というものについて詳しく見ていきましょう。

スポンサーリンク

『RORO船』って何?

『RORO船』 ⇒ 何と読む?

RORO船は、トラックやトレーラーなどの荷台部分(トレーラーシャーシ)だけ積むことを専門にしている大きな貨物船なんです。

まずは名前の由来ですが、

トレーラーのタイヤが転がって船に乗っていくのでロールオンRoll on)、逆に船から降りてくるのはロールオフRoll off)、合わせてローロー船って呼ばれています。

(出典:国土交通省 海事局我が国の国内物流における内航海運)

RORO船はランプウェイを備えていて、トレーラーなどを収納する車両甲板を持っているおかげで自走で搭載、揚陸できるのです。

1万トン級のサイズのスペックは、全長約180m、全幅27m、航海速力23ノット、積載能力は13mのトレーラーシャーシで160台、車両デッキは一般的に2~5層程度設けられています。

船の速度がコンテナ船よりも速いことも特徴で、ある程度の生鮮食品などを輸送するのにも適しています。

世界最大級のコンテナ船出航
ちなみにこれ↑ 世界最大級のコンテナ船 でか!

なぜ『RORO船』が物流界の救世主?

日本の豊かさを支えている物流。

その物流業界は今、長時間労働の改善に取り組んでいます。

長距離輸送の現状

働き方改革関連法による労働基準法の改正で、時間外労働時間の上限規制が施行される予定です。

一般産業では既に施行されているのですが、「自動車運転の業務」などの一部の業務に対する適用は2024年4月からになっています。

労使協定を結べば、1日の時間外労働時間の上限はありませんが、月平均で80時間、年間960時間が上限。

しかしこれは段階的措置のため、ゆくゆくは一般産業と同じく年間720時間が上限になります。

法令違反すれば罰則を受けることになり、また別に勤務間インターバル制度や、月60時間超の時間外労働割増賃金の制度も施行されることから、従来の長距離輸送の働き方では、事業主にとってもドライバーにとってもマイナスでしかありません。

労働時間の短縮を図りつつも、今までの業務量を処理することが求められるのです。

RORO船の場合、港から港へ内航輸送をするので、トレーラーのドライバーは発送する荷物を積んだトレーラーシャーシだけを港に置いていけばいいのです。

RORO船が港に着けば、出発した港から積載しているトレーラーシャーシを荷下ろしします。

船が空になれば、次は港に集まったトレーラーシャーシを積んでいきます。

この両作業は、現場の荷役専属者数名がトレーラーヘッドをシャーシとつなぎ合わせ全て処理してくれます。

RORO船から下船するトレーラー
船内からトレーラーシャーシをおろす風景

ですので、長距離ドライバーの荷役の待機時間と荷役時間、そして労働時間の短縮も図れるのです。

長距離輸送は『RORO船』にモーダルシフト

モーダルシフトとは、貨物輸送を環境負荷の小さい鉄道や船舶の利用へと転換することをいいます。

現在では世界規模でSDGsをはじめとする環境問題への取り組みが企業に求められており、温室効果ガスの排出削減のためにCO2の排出量の少ない鉄道貨物や船舶を利用することを推奨されています。

2020年度貨物運搬CO2排出量の図

1トンの貨物を1㎞運ぶ(=1トンキロ)ときに排出されるCO2の量を見ると、トラック(営業貨物車)が216gであるのに対し、鉄道は21g、船舶は43gしかありません。

つまり、貨物輸送の方法を転換することで鉄道利用では90%、船舶利用なら80%もCO2排出量を削減することができるのです。

こうしたことから地球温暖化対策としてモーダルシフトは大変有効です。

実はこのモーダルシフトは急に始まったことではなく、今から50年ほど前にも推奨されていたんです。

モーダルシフト推奨時期と社会情勢

  • 1970年代 オイルショック
  • 1990年代 環境問題
  • 2000年代 労働問題
  • 2020年代 環境・労働問題

実際のモーダルシフトのイメージをご覧ください。

モーダルシフト転換前と転換後の図

労働力不足の解消・働き方改革という観点からも注目されています。

モーダルシフトを行わない場合、倉庫間や集配拠点間の輸送など、幹線輸送となる部分について数百kmの距離を運転するため、出発した拠点に戻ってくるまで数日かかってしまう場合も少なくありません。

しかし、モーダルシフトを行えば最寄りの転換拠点となる箇所まで、もしくは最寄りの転換拠点からの運転だけで済むため、効率的な業務を行うことができます。


こうした社会情勢も反映し、これまでモーダルシフトはおおむね500km以上の長距離輸送でないと難しいと考えられていましたが、最近では300km~400kmといった比較的短い距離でのモーダルシフトの例も増えてきています。

まとめ

モーダルシフトのメリットは6点

  • CO2の削減
  • 交通渋滞の緩和
  • 一括輸送によるコストダウン
  • 定時運送による計画的な輸送
  • トラック事故の低減
  • トラック運転手の長時間労働の改善

また、ビジネス以外でも災害発生時や非常時にも強いインフラとしてボランティアや物資、自衛隊などの緊急車両輸送にも貢献しているのです。

モーダルシフトのデメリット2点

  • 輸送時間が長引く
  • 天候による遅延

500㎞以内の短・中距離の移動での利用はコストが高くなる可能性がありますが、国土交通省や地方自治体による補助金の交付を利用することができるので検討価値はあります。

モーダルシフトは長距離輸送であれば効果が発揮されるものといえます。

物流を支える大手企業や長距離輸送主体の企業が、率先してモーダルシフトによる業務効率の改善と、労働環境の整備を行うことで先例をつくり、物流に関わる全ての人々に発信してもらえば物流や環境の未来につながります。

SDGsの 13「機構変動に具体的な対策を」にも該当するので、是非とも大活躍してほしいですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました